戦略に一番合致したソーシャル・メディア・チャネルの選び方

IABC's contents (Japanese)ソーシャルメディア

2016年1月4日 ケビン・ポポビッチ

あなたはコーヒーショップに座っていて、ある男性が店内の全テーブルを回ってチラシと無料のCDを配っている、と想像してみてください。おそらく、あなたはそれほどまでに彼のしていることを気にしないでしょう。彼は無料の音楽を提供していて、チラシにはあなたやあなたの友人が後でもっと知りたいと思うショーについて書いてあるかもしれない。つまり、彼の行動は関連性と適切性が感じられます。少なくとも、あなたは彼に対して寛容です。

Credit: jirsak / 123RF Stock Photo

しかし同じ男性とチラシ、CDの山を、あなたが重要なクライアントをもてなしているあなたのお気に入りの雰囲気のいいレストランに当てはめてみてください。彼があなたのテーブルに近づいてきたら、あなたはどのように感じるでしょうか。あなたは落ち着かない気持ちになり、ムっとさえするでしょう。今はそのような時でも、そのような場所でもないとあなたが感じているからです。

このシナリオを、あなたがソーシャル・メディアのメッセージの受け取り手(オーディエンス)と想定している層、時と場所を選ぶ際に考慮してみてください。2016年のコミュニケーション戦略を考える際には、あなたのオーディエンスがソーシャル・メディアについてどういう認識を持っていて、どういう目的で使用しているのかを再検討する必要があります。あなたがオーディエンスにリーチしたいからと言って、彼らがあなたにリーチしたいわけではないということと、予期しないオーディエンスが現れるかもしれないということは覚えておいてください。

コンテクストについて考える

それぞれの人がそれぞれの理由でソーシャル・メディアを利用していますが、2011年のPew Internet Researchレポートによると、米国内ではほとんどの人がソーシャル・メディアを現在の友達とつながること(67%)、家族とつながること(64%)に使用しており、女性の方が男性よりもソーシャル・メディアを通じて家族とつながっています(女性72%、男性50%)。調査対象のうち、14%のみがソーシャル・メディアを使って「共通の趣味や興味で他者とつながっている」と回答しました。このレポートは「この設問については年齢、収入、教育、人種、子供の有無、住んでいる場所によって、大きな違いは見られなかった」と注釈をつけています。

2015年のGlobal Web Index調査は、これは世界的な傾向であると示しています。同調査によると、ソーシャル・メディアを利用する主な理由は、友人とつながるため(回答者の55%)となっています。

さらに、2013年のPew Internet Researchレポートは、米国民の87%がオンラインで、13%がオフラインだと報告しています。この87%のオンラインのうち、26%がソーシャル・メディアを利用していません。あなたがつながりたいと思うオーディエンスの属性によっては、彼らはソーシャル・メディアを使ってすらいないかもしれません。

米国の18,000人の消費者についての2014年 Gallup調査によると、人々は主としてソーシャル・メディアを社会的であるために使用しています。回答者のうち94%はソーシャル・メディアを友人と家族とつながるために使用し、一方29%は流行を追いかけ、情報や製品レビューを見つけるため、20%が製品レビューに自身のコメントをつけるために使用している、と回答しています。

購買決定におけるソーシャル・メディアの影響力については、62%の回答者はまったく影響を受けていない、と回答しています。30%はいくらか影響を受けている、そしてたった5%のみが、大いに影響を受けている、と回答しています。

3タイプのソーシャル・メディアからの選択

もし、多くの人々がソーシャル・メディアをビジネスとつながるため、もしくは購買決定のために使用しないのであれば、あなたは彼らを、彼らがソーシャル・メディアを使用する目的において、巻き込んでいく必要があります。どのソーシャル・メディアも、オーディエンスに接触したり、あなたが重要と考えるアクションを支援したり、あなたの戦略を助けます。どのように巻き込んでいくかの戦略を練るためには、下記の3点に留意すべきです。

ソーシャルネット・ワーキング:この機能を持つサイトは、人々が他者とつながる助けをする。現在の顧客との関係性を構築するのに有益で、また、メッセージ、情報、インターネット上のその他リソースへのリンクを共有することによって、新しい見込み客とのつながりを作り出す。ソーシャル・ネットワーキング・サイトはソーシャル・ネットワークの基盤で、ビジネスのソーシャル・メディア・プラットフォームの中核になりうるものである。

コンテンツ・シェアリング:この機能を持つサイトは、人々が多種多様な情報を共有する助けをする。写真、グラフィック、映像、プレゼンテーション、音声、音楽 — あらゆる人の探す、すべてのタイプのコンテンツを有する。

コラボレーション:この機能を持つサイトは、人々が影響力を駆使したり、収益を上げたり、協業したりということを企業レベルで行う助けをする。1対1で働いたりグループで働いたり、一緒に働いたり交代で働いたり、ビジネス・ゴールを達成するための共通の努力に貢献することができる。

自分の知っていることから始めましょう

ほかのメディアと同様に、私たちはソーシャル・メディアの人口動態(デモグラフィック)と心理学的属性(サイコグラフィック)を選択し、自分たちのオーディエンスのうちそれぞれのタイプの人間がどこにいるのかを割り出すことから始めます。

たとえば、私のビジネス・ゴール達成を支援するために、私たちは米国企業のCEOまたはバイスプレジデントで、35~55歳のネットワークを目指します。LinkedInまたはTwitterから始めます。私はこの層のオーディエンスにはLinkedInやTwitterでコンタクトができると知っています。というのも、この両ソーシャル・メディアには職位や年齢といった情報が掲載されているからです。

ヒント:ソーシャル・メディア・ユーザーのデモグラフィックについての情報は、グーグルに「職位によるソーシャル・メディア デモグラフィック2015」や、「LinkedInユーザー  プロフィール デモグラフィック 2015」といったように自分の探している内容を打ち込んで入手することができる。ソーシャル・メディア・ネットワーキング・サイトも、広告出稿のオプションとして、ユーザーのデモグラフィックについて情報を提供してくれるだろう。

例えばForbsの記事「CEOのうちソーシャル・メディアを使用しているのは三分の一未満」のように、ちょっとしたリサーチで、あなたの仮定を立証するデータを見つけることができます。同記事は、ニュースサイト、CEO.comとビジネスソフトウェアDomoの売上の高い米国企業500社の調査を引用したもので、それによるとLinkedInのアカウントを持っているのはCEOの27.9%だということです。同調査は、Twitterだとさらに数字が下がり、500社のうちでCEOのうち、たった5.6%しかアカウントをもっていないと報告しています。驚いたことに、Facebookのアカウントを持っているCEOはTwitterより少し高くて7.6%ということです。

このデータは、InstagramやPinterest、Google+にも注意を向けるべきとはどこにも書いていません。これらのソーシャル・メディア・ネットワーク内を調査しても、私たちがターゲットとするオーディエンスには近づけないからです。

よっていくつか基本的なリサーチをした結果、私たちはLinkedIn、Facebook、Twitterを対象ネットワークと定め、そこから得られる情報をもとにそれぞれを優先順位付けします。さらにリサーチを続ければ、より関連性が高く、タイムリーなデータで、かつ、私たちが確かな情報に基づいて、私たちのオーディエンスがどんなタイプのコンテンツを好むのか、各種のソーシャル・メディアのいろいろな機能を用いたコラボレーションの可能性についての意思決定を下す助けになるデータを見つけられるでしょう。(例えば、たった47%のCEOしか関係づくりのためにソーシャル・メディアに参加していない)。その他のリサーチのように、データが発行された年と、もちろん出典を考慮しなくてはなりません。

ほとんどのビジネスはそのオーディエンスに対して、ひとつ以上のソーシャル・メディアを使うでしょう。なぜか。それはある人はテレビを見、ある人は新聞を読むといったように、人々はメディア消費に嗜好があり、すべての人にひとつのチャネルを使わせえるのは難しいからです。ビジネスではつい「全部使おう!」と言いたくなりますが(比ゆ的に言えばの話です、全てのソーシャル・メディアを使うなど不可能ですから)、実際にはそうはなりません。

すべてのソーシャル・メディアにプロフィールが作成されると、つながる可能性とともに、つながる責任を表します。ソーシャル・メディアは、何もせず放置すれば負債にすらなりえます。ソーシャル・メディアにあまりに多くのコミットメントを引き受けすぎると、予算はかさみ、焦点がぼやけてきます。ソーシャル・メディアに優先順位をつけることは、今後ソーシャル・メディアにどれだけリソースを注入するかも含め、戦略をじっくり考えるためにも有益です。

Kevin Popović ケビン・ポポヴィッチ

ケビン・ポポビッチはサンディエゴ州立大学講師であり、クリエイティブコミュニケーションエージェンシーのアイディアハウス創設者。オンラインマーケティング研究所より「トップ20デジタルマーケティングストラテジスト」に選ばれ、2015年には「デジタルマーケティングで最も影響力のある15の教育者」に選ばれた。ポポビッチ氏はスクールオブマネージメントでクリエイティビティ、イノベーション、ビジネスプランニングとソーシャルメディア戦略を教えている。
File Under: Features, January 2016
記事原文はこちら:
http://cw.iabc.com/2016/01/04/choose-social-media-to-support-strategy/