伝えるから、動かすへ
昔、会社の先輩から 「 伝えると伝わるは違う 」 といわれて、なんて理屈っぽいことを ・・・ と感じたことがありました。真意は、伝えっぱなしにするのではなく、相手にちゃんと届くのか、そこまで考えてコミュニケーションをしなさい、というほどの意味だったと思います。たまたまですが、一緒に IABCジャパン の理事を務めている林さんの会社のスローガンも 「『 伝える 』 から 『 伝わる 』 へ 」 でしたね。こう言い換えると、すっと気持ちに入ってきます。コピーライティングの力、あなどるべからずです。
しかしここまで、コミュニケーションの目的としては、「 伝える 」 はもちろんのこと、「 伝わる 」 だけでは不十分で、「 どういう人に、どういう行動をとってもらいたいか?」 までイメージしたい、という話しをしてきました。誤解があるといけないのですが、「伝えることは目的にならない 」 といっているわけではないのです。
構造としてはトヨタの 「 何故を5回繰り返す 」 というのに似ていますね。
■ 誰々に何々を伝えることを目的にする ―― それでは、それは何のために?
■ 何々について、知ってもらう、ために
と、コミュニケーションの目的をどんどん深堀りをしていくのです。その過程で
■ 何々について、考えてもらう、ために
■ 何々についての考えを、変えてもらう、ために
という答えが出てくると思います。このように 「 行動 」 にまで結びつかなくても、
■ その情報を受けた人の、考え方 (マインドセット) を変える
という 「 変化 」 を目的とする考え方もあると思います。さらにぎりぎりと問い詰めて
■ どういう人に、どういう行動をとってもらいたいか?
という 「 行動 」 まで落とし込むことができると、目的としてよりシャープになるのではないかと思うのです。林さんのコピーをお借りすれば、「 伝える 」 から 「 動かす 」 へ、ということになるのでしょうか。なんとなく上から目線とかいわれそうですが ・・・。(2012年3月23日)
そもそもIABCとはInternational Association of Business Communicatorsなのですが、いったいビジネスコミュニケーションとは何を指すのでしょうか?また、そのように概念化することによりどのようなメリットがあるのでしょうか?IABC本部の考え方を参照しながら、また時にはまわり道を怖れずに、少しずつ考えていきたいと思います。
下平博文
IABCジャパン理事 (花王株式会社)