説得されて嬉しいですか

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コミュニケーションには 「 どういう人に、どういう行動をとってもらいたいか?」 という目的をクリアにすることが有効ではないかという話しをしてきました。それを説明するために、以前 『 企画書のつくり方、見せ方の技術 』 藤村正宏 (あさ出版) という本を紹介しましたが、この本には、もうひとつ 「 なるほど 」 と、深くうなずいたポイントがありました。それは、

■     説得をされて行動を起こす人は少ない

という指摘です。企画書は説得する道具だと思っている人が多い。あるいは、企画を通すことは、相手を説得することだと勘違いしている人が多いという現状に、それは違うと言っています。

これもコミュニケーションを考えるうえで、大切なポイントではないでしょうか。私の好きな言い回しに、” You can lead a horse to the water, but you can’t make him drink ” というものがあります。「 馬を水辺に連れていくことはできても、飲ませることはできない 」 ということです。どのくらい気に入っているかというと、この文句をプリントアウトして、会社のPCのモニターのフレームにしばらく貼ってあったくらいです。これはこの本が言いたいことと似ていますよね。

説得されて行動を起こす人は少ない ・・・ というか、ふつう説得されて良い気分になりますか?

むしろ説得されるのは、私であればどちらかと言うと不愉快です。それは受け手の気持ちになれば、もっといえば普通の人間の感覚として当たり前のことだと思うのですが、情報を伝える側になったとたん、私たちはこのような常識が分からなくなってしまう、というところがあります。コミュニケーションは難しいですね。(2012年3月30日)

そもそもIABCとはInternational Association of Business Communicatorsなのですが、いったいビジネスコミュニケーションとは何を指すのでしょうか?また、そのように概念化することによりどのようなメリットがあるのでしょうか?IABC本部の考え方を参照しながら、また時にはまわり道を怖れずに、少しずつ考えていきたいと思います。

 下平博文
IABCジャパン理事 (花王株式会社)