工場長がゴミ箱を大量発注した理由

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IABCの世界大会 (ワールドカンファレンス) に参加すると、日本と海外とのコミュニケーションの違いを感じることが幾つかあります。社内のメディアのなかで、結構 face to face つまり対話やミーティングを重視しているという点もその一つです。日本で社内広報の話しをしていても、ミーティングをどうする、という話しにはなかなかなりにくのではないでしょうか。

最近 『 日産 驚異の会議 』 などの書籍で話題になることの多い会議 (ミーティング)ですが、まず感じるのは組織 (会社・部門) によってそのスタイルは本当に多様だということです。ワイガヤという言葉がありますが、基本的にいろいろなことを自由に言い合うのが会議、という組織もあれば、会議は一方的な指示・伝達の場、という組織もあります。もちろん目的によって使い分けている組織もあると思います。

私が勤務する花王には 「 まじめな雑談 」 という言葉があります。議論のテーマはまじめに、スタイルはあくまでも自由闊達に、という感じで、このことから花王のカルチャーはどちらかというとワイガヤ系であることが分かります。もう昔の、工場での話しですが、終業時間が近くなると、誰ともなくいろいろな部署の人間が責任者の席に集まってきて、ゴミ箱をひっくり返してその上に腰掛けながら情報交換をする、そのなかから部門を越えた問題解決の糸口が見つかる、というようなことがあったそうです。どうも最近、そうしたざっくばらんな雰囲気がなくなってきたので、工場長が大量のゴミ箱の発注を命じたという、ここまでくると本当か、冗談か分かりませんが ・・・ 個人的には好きなエピソードです。しかし、時間という資源が無限にあるように皆が思い込んでいた、いかにも右肩上がりの時代をしのばせる話しでもあります。

しかし、懐かしがってばかりもいられません。いまの日本企業の上の世代は、右肩上がりからバブルの時代に社会人になりました。そのころ仕事は先輩の背中を見て覚えるもので、きちんとマネジされた経験がありません。そういう人たちがマネジャーになって、いざマネジをしろと言われても、ピンとこないのは全てが本人の責任とは言いがたいところがあります。会議も何となく集まって顔を揃えればそれでOKというようなところがあって、目的だとか、アジェンダだとか、そもそも誰も作り方を教えてくれなかった。しかし、だんだんそんな言い訳も通らなくなってきたというのが、最近の風潮ではないでしょうか。それでは会議 (ミーティング) について考えるとき、私たちはいったい何について考えればよいのでしょうか。

そもそもIABCとはInternational Association of Business Communicatorsなのですが、いったいビジネスコミュニケーションとは何を指すのでしょうか?また、そのように概念化することによりどのようなメリットがあるのでしょうか?IABC本部の考え方を参照しながら、また時にはまわり道を怖れずに、少しずつ考えていきたいと思います。

下平博文
IABCジャパン理事 (花王株式会社)