コミュニケーション・ファシリテーター

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PR実務家の次の役割としてあげられているのが、コミュニケーション・ファシリテーターというものです。これまでのように本文をかいつまんで、そして多少読み替えをしてみていきたいと思います。

《コミュニケーション・ファシリテーターの役割を果たすということは、PRの実務家を感度の鋭い聞き手として、また情報の仲介役として位置づける。コミュニケーション・ファシリテーターは、組織体と一般社会の間に立って、連絡窓口、通訳者、橋渡し役として機能する。彼らは双方向のコミュニケーションを確保し、人間関係面の障壁を取り除き、対話の窓口を常に開いておき、交流をしやすくする。その目的は、マネジメントとパブリックの双方に、相互の利益となる決定を下すための必要情報を提供することである》

ここで以前に紹介をしたPRの定義を思い起こしてみましょう。そこには 「パブリック・リレーションズとは、組織体とその存続を左右するパブリックとの間に、相互に利益をもたらす関係性を構築し、維持するマネジメント機能である」 とありました。この定義に照らしたとき、PRの実務家の最も本質的な役割が、このコミュニケーション・ファシリテーターであるといえると思います。

その役割は、誰も反論できないような普遍的なものであるように思えます。しかし、ほんとうにこの考え方に同意し、実践していくのか?そうであるとしたら、具体的な実践とはどのような取り組みになるのか?軽々しく結論を出すことができるようなものではないという気がします。考えるに値する“問い”であることは間違いありません。

スコット・M・カトリップ、他 『体系 パブリック・リレーションズ』 2008, ピアソン・エデュケーション


下平博文
IABCジャパン 理事
(花王株式会社)