【イベント報告】「グローバル人材育成と異文化コミュニケーション」のご報告

topicsグローバル、異文化、IABC

先日のブログ投稿でご案内した経済広報センターとの共催シンポジウム「グローバル人材育成と異文化コミュニケーション~経済界・企業・大学の現状と課題」が12月9日、開催されました。
約80名の方がご参加くださり、渥美育子さんの講演、パネルディスカッションに続き、質疑応答では時間いっぱいまで手があがり、本テーマに対する興味の高さが伺えました。

グローバル人材とは、地球規模で発想し、行動を起こせるひと
紛争、資源、グローバル競争市場など、私たちが抱える問題や困難は世界が共有している課題でもあり、こういった課題の多くは異なる価値観がせめぎ合っていることが背景となっています。
渥美さんは、世界共通の問題を解消するためには“次世代モデル”づくりが必要であり、これまでも恵まれない国や人々の役に立つ協力をしてきた日本は、みずほの国として新たな資本主義のモデルとなるのではないかとお考えでした。
その日本が迅速に取り組まなければいけないのが、本テーマであるグローバル教育です。
渥美さんが講演の中で示したことは、グローバル人材には世界を俯瞰して捉える視点と時間軸・空間軸を備えた思考が不可欠であるということでした。

英語への恐怖心を取り去ること、自由に発言できるコミュニケーション環境と人材育成
パネルディスカッションでは本テーマと渥美さんのご講演内容を軸に、パネリストの活動や課題、意見交換などを行いました。
その中で、産・学の現場の声として多く出来てきた問題は英語教育に対する課題です。当然、グローバル人材に英語は極めて重要な能力となりますが、英語の能力があっても自分の意見を相手に伝えることに慣れていない場合が多いのが現状のようです。
企業で工夫されている例として、情報のフラット化を進め、誰しもが課題を共有でき、意見を言える環境づくりが上げられました。
また、このように臆さず自分の意見を述べるためには、企業研修以前に高等教育から初等教育までを見直すべきであるとの意見が出されました。
渥美さんが述べられた世界共通理解の座標軸もこれと同様に、初等教育から自然に取り入れることが望ましいのではないでしょうか。

アンケートにも反映されるリベラルアーツの重要性
シンポジウムのはじめに、経済広報センターから発表された「グローバル人材の育成に関するアンケート」でも、グローバル人材育成の必要な取り組みとして、日本の歴史理解を上げる方が多いとの結果が出ています。
英語でコミュニケーションできる前提で、何を語れるか、つまり中身が問われていると考えることができます。
グローバル人材の育成は、日本の教育制度やカリキュラムの見直しが一つの課題ではありますが、世界を俯瞰し、マトリックス思考で物事を捉える個々人の意識変革、そしてグローバルで何に取り組んでいるか、取り組もうとしているか、という目的をしっかりと持つことではないでしょうか。

IABCジャパンチャプターとしては、本シンポジウムで参加者の方と課題共有ができたこと大変嬉しく思います。
ご参加くださった皆様、登壇いただいた渥美育子さん、共催としてご協力くださった経済広報センターの皆様には大変感謝致します。ありがとうございます。

<参考情報>
経済広報センター「グローバル人材の育成に関するアンケート」調査結果
http://www.kkc.or.jp/release/detail.php?page=1&year=2013&id=90