何のために?を5回繰り返すと

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前回は、どうして私たちは手段と目的を区別することが苦手なのか、ということについて幾つかの仮説を述べました。

もう一つの仮説として

■     私たちは良い目的と出会っていない

ということが考えられるかもしれません。良い目的というのは、それを明らかにしておいて良かった、助かったと実感できるようなものです。これまでも、コミュニケーションの目的としては、「伝える 」 はもちろんのこと、「 伝わる 」 だけでは不十分で、「 どういう人に、どういう行動をとってもらいたいか?」 までイメージしたい、という話しをしてきました。そしてそのために、トヨタの「 何故を 5回 繰り返す 」 にならって、「 それは何のために? 」 「 その目的は何なのか? 」 というような問い掛けを繰り返してはどうか、という提案もしてきました。

しかし、実際に自分が誰かにそのように問い掛ける、あるいは問い掛けられる様子を想像してみてください。これはかなり、人の気持ちを逆なでにする問いではないでしょうか?ですから、まずは自分の努力目標として、自分に問い掛けるしかないのかな・・・ というのが、ちよっと情けないようですが当面の私の結論です。

トヨタに勤務されている方と話したことがあるのですが、「 何故?は家庭には持ち込まない 」 と笑いながらおっしゃっていたことを覚えています ( 社内恋愛でゴールインした場合は例外という説もあるようですが )。それはそうですよね。ソクラテスの言葉に 「 議論というものは、およそ理由を尋ねた方が勝ち 」 というものがあるということです。そうであればこそ、私たちはあまり理由 (何のために) をしつこく問われると、気持ちが穏やかでなくなってくるのですね。ストレスなくそうした問い掛けを相互にできるように、組織の習慣にしてしまうのがよいと思うのですが、そのためにはどうしたらよいのでしょうか。どなたかアドバイスがあれば、聞かせていただけると嬉しいのですが。

そもそもIABCとはInternational Association of Business Communicatorsなのですが、いったいビジネスコミュニケーションとは何を指すのでしょうか?また、そのように概念化することによりどのようなメリットがあるのでしょうか?IABC本部の考え方を参照しながら、また時にはまわり道を怖れずに、少しずつ考えていきたいと思います。

下平博文
IABCジャパン理事 (花王株式会社)