問題解決ファシリテーター
4つ目の役割が問題解決ファシリテーター (Problem-Solving Facilitator) です。本文をみてみましょう。
《PRの実務家が問題解決ファシリテーターの役割を担うときは、問題を明確にして解決するために他のマネジャーと協働する。彼らは戦略構築チームの一員となる。協働作業とコンサルテーションは、問題解決のための最初の質問から始まり、プログラムの最終評価まで続く。問題解決の実務家は、他の組織的な問題を解決するために使用されているのと同じ経営上の段階的なプロセスをパブリック・リレーションズにも適用して、他のマネジャーや組織体を支援する》
うーん、かなりわかりにくいですね。私なりに、こういうことではないのか?と考えた解釈を以下記してみます。この問題解決ファシリテーターという役割は、「組織体とその存続を左右するパブリックとの間に、相互に利益をもたらす関係性を構築し、維持する」 というPRの視点から、組織の真の課題はなにか、潜在的なリスクは、オポチュニティはなにか、みずからも主体者として組織の運営に参画しながらも、常にモニタリングしているというイメージです。役割分担としては、PRの意義をよく理解する経営チームの一員として、組織内コンサルタント的に振舞っているというケースが多いのではないでしょうか。
あるいは、組織のトップが非常に広い社会的視野をもっているときには、トップ本人がこの役割を担っているという可能性もじゅうぶんありえることだと思います。「組織体とその存続を左右するパブリックとの間に、相互に利益をもたらす関係性を構築し、維持する」 というPRの定義からすれば、それはそんなに意外なことではないはずです。私見ですが、むしろ今後の組織においては、PRのセンスを持つトップの存在が大きな強みになるのではないかと思います。すなわち、問題解決ファシリテーターの究極は、経営とPRの一体化です。
スコット・M・カトリップ、他 『体系 パブリック・リレーションズ』 2008, ピアソン・エデュケーション
下平博文
IABCジャパン 理事
(花王株式会社)