手段と目的

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ある日、どうして私たちはこんなにも手段と目的を区別することが苦手なのだろうか、という疑問が湧いてきました。そこで、幾つか仮説を立ててみました。

■     目的は自明である

手段と目的を “ 区別するのが ” 苦手という捉え方はあまりよくなくて、単に “ 目的を考えるのが ” 苦手なのではないかとも考えられます。そもそもたいていの目的は、言葉にしてしまうと抽象的で当たり前、醒めた目でみると 「だから何なのか?」 と言いたくなるようなものではないでしょうか。あるいは 「 分かりきっている 」 と言いたくなるようなもの? もしかしたら、ビジネスをふくむ多くの物事において目的は自明であると、多くの人が考えているのかもしれません。

■     目的は役に立たない

同じようなことですが、目的について考える意味が分からない、ということもあるかもしれません。そんなことに時間と労力を費やすのであれば、ともかく物事に手をつけてみることが美徳とされ、評価される。しかも私たちはたいてい真面目なので、大小もなく全力を挙げて取り組みます。その結果、仕事が溢れて、自滅してしまうことも・・・。

■     目的があるとは限らない

人生に目的はあるのか?このことからも分かるように (?)、物事には必ずしも目的があると限らないではないか ・・・ といわれれば、その通りと応じるしかないのですが、ここには誤解があって、私は目的がなければ駄目だと主張しているわけではなく、特にビジネスのコミュニケーションでは目的がクリアな方が上手くいく可能性が高い、ということをいいたいのです。

■     組織が手段の視点でできている

プロジェクトチームなどは、目的の視点で結成されることがあるかもしれませんが、ルーチンの組織はその機能・役割で分けられているのが普通です。役割とはすなわち手段ですよね。私たちは、多くの場合組織を前提に仕事をするわけですから、何のために? の前に、つい 「 私たちは何をしたらよいのか 」 という発想で仕事を捉えてしまうということは、大いにありそうな気がします。

皆さんは、どうお考えになりますが?ご意見をいただけると嬉しいです。(2012年4月6日)

そもそもIABCとはInternational Association of Business Communicatorsなのですが、いったいビジネスコミュニケーションとは何を指すのでしょうか?また、そのように概念化することによりどのようなメリットがあるのでしょうか?IABC本部の考え方を参照しながら、また時にはまわり道を怖れずに、少しずつ考えていきたいと思います。

下平博文
IABCジャパン理事 (花王株式会社)