コミュニケーション・テクニシャン
『体系 パブリック・リレーションズ』 は、パブリック・リレーションズ(以下、PR)の実務家の役割を4つあげています。順番にみていきたいと思います。最初は、コミュニケーション・テクニシャン(Communication Technician) と呼ばれるものです。本文をかいつまんで引用します。
《大半の実務家はコミュニケーション・テクニシャンとしてこの分野へ参入する。入社段階の仕事内容で、必ずといっていいほど求められる条件は、コミュニケーションとジャーナリスト的なスキルである。コミュニケーション・テクニシャンは、社内報の執筆と編集、ニュースリリースや特集記事の執筆、ウェブサイト・コンテンツの作成、メディア対応などを担う》
ここで求められていることは、文章や口頭で、ものごとをわかりやすく、正確に伝えるスキルです。
《彼らはコミュニケーション・プログラムを作成して導入するために“後から”呼ばれ、場合によっては、もともとの動機や意図する結果などの知識をすべて知らされるわけではない。彼らは自分たちがマネジメントチームの一員ではなく、「最後に知らされる人」であることに不満を抱いている》
役割としては、これは私の整理ですが、「決まったことをデリバリーする」ことなのです。そして、こうした実務家の不満は、意思決定に参画できる、できないということ自体よりは、ものごとの目的や決定の背景を理解していたほうが、よりわかりやすく、正確に、かつ効率的に伝えることができるのに・・・というフラストレーションに根差すものだと思います。しかし、何を伝えるのか(What)と、どう伝えるのか(How)をはっきり線引きすることができません。このスキルに習熟するにつれて、何を伝えるのかに自分も関与すべきだと考えるようになるのは、人間としての自然な傾向だと思います。
スコット・M・カトリップ、他 『体系 パブリック・リレーションズ』 2008, ピアソン・エデュケーション
下平博文
IABCジャパン 理事
(花王株式会社)