従業員エンゲージメント戦略を構築する4つのP

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2016年8月3日 プリヤ・ベイツ

リーダーがコミュニケーションと人事担当者に従業員エンゲージメント計画の作成を頼む場合、実際に何を望んでいるのでしょうか。時には、それは単に戦術策――従業員をハッピーにするようにデザインされたお祝いやイベントだったりします。または従業員が変革をスムーズに受け入れる手助けとなるプログラムを依頼している場合もあります。またある時は従業員の忠誠心と個人裁量による努力を確かなものにすることで直接的にその組織の商品やサービスに影響を与えるような包括的プログラムを求めていることもあります。

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私にしてみれば常に明解でした。リーダーが真に求めているのは、その組織の最終利益とゴールにインパクトを与え得るような変革なのです。成功するエンゲージメント戦略は、単純にプラスとなる事業結果によって測定されるものです:従業員が毎日生産的であること、ブランドプロミスを実践しポジティブなカスタマー体験をもたらしていることです。戦術策あるいは努力がこのようなインパクトをもたらさないならば、リーダーはその従業員エンゲージメント施策が失敗であったとみなすでしょう。

そこで我々のチャレンジはここにあります:エンゲージメント施策は正しいゴールと測定方法を念頭に置いて取り掛かることです。

問題となるのは、エンゲージメント調査が大抵3つのキーとなる要因を測定する事にあります。エーオンヒューイット社による定義を私も使うことにします。それによれば、従業員がその組織の職に留まること、その組織や商品/サービスについて良いことを口にすること、そしてそれ以上のことをしようと努力することの3つです。測定方法は、年に一度の従業員アンケート調査による自己評価に基づいている事がほとんどです。従業員はこうした質問にどのように評点をつけるかを自分自身で決めるのです。

私がこの定義と格闘し始めたのが数年前、カナダ最大の従業員10万人以上の食料雑貨店企業と仕事をした時でした。組合組織された労働者の人数が多く、当然と思われる離職者と新規雇用がありました。従業員の多くが学生や季節労働者、そして始めて仕事につく人達でした。

なぜ我々は在職率を測定するのか疑問でした。研究調査によればミレニアル世代が1つの組織に留まる傾向にないことが示されているのです。そして組織がワークライフバランスを掲げている時代に、個人裁量による努力を提供するごく少数の人に焦点を当てるのではなく、単純に従業員が自分の仕事をして、雇用されてやるべきサービスを提供していることを成功として測定しないのか、疑問でした。

私はエンゲージメントの成功がどのようなものか、特定のプログラムをみるのかあるいは全社的な取り組みをみるのか、自分で独自の定義と測定方法を開発するに至りました。私はこれを「Inner Strength 4Ps of Engagement (エンゲージメントの内的強さ4つのP)」と呼んでいます。そしてこれは組織内のパートナーやリーダーとエンゲージメントを話し合い始めるのに良い方法です。

業績を出す
常に業績からスタートします。何のためにエンゲージメントを創り出すのかその施策のビジネス上のゴールは何ですか。成功するときはどのように見えますか。

エンゲージメントがビジネス戦略にどのようなインパクトを与えたかを評価するためには、財務上の結果及びオペレーション上の結果を定義付けします。変革計画に関するエンゲージメントならば、変革がスムーズに行く時にビジネスに何が起こるかを特定します。ソーシャルメディアのポリシーを定め、従業員が仕事でソーシャルメディアのツールにアクセスできるように権限を公開する場合、成功はそのポリシーが破られた回数で測定できるでしょう。

ビジネス上のゴールを念頭に始めることで、ビジネス上の結果があなたの取り組みによるものか、その相互作用によるものか明確な線引きをすることができます。

参加する
ビジネス上のゴールを明確にはっきり決めたら、従業員あるいは聴衆がそのゴールを達成するためにやるべきことを定義します。従業員はその取り組みを成功させるために何をすべきですか。

CSRの取り組みでは、寄付やボランティア活動に使った時間の従業員数を測定します。技術的変更の場合は、トレーニング研修への参加率あるいは新しいやり方を採用した従業員の割合を測ります。行動規範の改定の場合、違反報告件数の変化を測定します。

促進する
あなたは自分たちの組織や商品、サービス、あるいは変化の取り組みに関して、従業員に何と言われたいですか。エンゲージメント施策を促進する際の焦点は、従業員がシェアしていることとキーメッセージの一貫性を測定すべきです。

マーケティング策あるいは新商品の市場投入にあたっては、従業員が個人的にソーシャルメディア上でシェアボタンを利用したり、“友人と家族”限定プロモーションを展開するプログラムを組織が従業員に奨励したりすることを見てみたいです。

それからそれは肯定的なメッセージに限りません。リーダーのプレゼンテーションから、eメール・メッセージ、マネジャー向けファクトシートと特集ストーリーまで一貫して、明解で会話調のメッセージ発信を活用することで、組織と従業員は厳しい状況下においても組織の立ち位置を説明することができます。

プライド
プライドは測定するのが少し難しいですが、絶対にどのエンゲージメント策にも不可欠です。メッセージとストーリーは、エンゲージする従業員の心持ちを優先して構築しましょう。

エンゲージメント策に取り掛かるとき、従業員が何に誇りを持つべきか自分に問いかけてみることです。誇りは、企業の歴史や変革を成し遂げた先人を介して作られるものです。あなたの組織を競争相手から差別化して、市場をリードするために何をしているかによって形作られるものです。それはまたプラスの業績と従業員による認識によって作られるものです。組織の目的と使命、ビジョンへの結びつきを作ることでできるものです。

これら4つの原則をガイドとして、エンゲージメント戦略を立てましょう。手始めに何がエンゲージメント成功のカギとなるか定義付けをして、コミュニケーション施策を実際に成功測定するアウトプットと結果と結びつけることです。
更なる従業員エンゲージメントに関するプリヤ・ベイツのインタビュービデオはここから:

Priya Bates, ABC

プリヤ・ベイツ, ABC, CMP, MC, IABCフェローは、受賞歴のある専門家、内部から強力な業績を上げることに情熱を燃やすコミュニケーターです。Inner Strength Communication社の社長兼オーナーとして、ベイツ氏は戦略的インターナルコミュニケーション、エンゲージメント、ブランディング、そして移行期の変化計画を構築してきました。それらはビジネス戦略と従業員によるデリバリーとの間の点と点を結びつけるものです。20年以上のキャリアを通じて、彼女がコミュニケーションを導いてきた組織は、Loblaw Companies Limited, HP Canada そして Compaq Canadaなどです。彼女は2016年、IABCが会員メンバーに贈る最高位の権威である IABCフェローに選ばれました。
出展元:http://cw.iabc.com/2016/08/03/build-an-employee-engagement-strategy-with-the-4-ps/