経済広報センターと共催で、パネルディスカッションを実施しました

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12月6日、私どもIABCジャパンチャプターは、経済広報センターとの共催で、日本在住のグローバルコミュニケーターを招き「コミュニケーションから考える日本企業」と題する公開討論会を実施しました(経団連会館)。登壇いただいたのは
ギルバート・チャベス
BC Consulting/グロービス経営大学院
ビリー・コール
花王(株) コーポレートコミュニケーション部門
ダニエル・スローン
日産自動車(株)日産グローバルメディアセンター
の3名(敬称略)。進行は、IABCジャパンチャプター副代表、清水勇材が務めました。
以下、当日の主な議論をレポートします。

日本企業と海外企業のコミュニケーション

日本企業と大きくくくりましたが、本社の国籍よりも、事業領域やグローバル化の進展具合による個々の企業の違いの方が、コミュニケーションのスタイルに与える影響は大きいのではないかというのが基調となるトーンでした。ただ、日本のメディアは相対的に企業と親和的なのに対して、海外のメディアはより客観的、批判的であるという点、また対象とする読者・視聴者も一様ではないので、彼らが誰に対して、どのようなことを伝えたいのか、海外メディアに対応するときはよく考える必要があるという課題が明らかになりました。一例を挙げるなら、ローカルなコミュニティを想定しているのか、それとももっと広い視点を持った経営の専門家を想定しているのか、といったことです。

コミュニケーターに求められる要素

これも国に拠って異なるわけではないが、日本企業のほうが専門家としての地位が幾分低くみられていることが多いのではないかという指摘がありました。これに対して、コミュニケーションに対する認識は、その会社が何らかのクライシスを経験するなどをきっかけに、その重要さに目覚めたかどうかにも影響されるのではないか、という意見も出されました。例として3.11への対応などが挙げられました。また、経営者のコミュニケーションに対するコミットメントもさまざまであるが、コミュニケーターが専門家として適切なコミュニケーションをトップに提案することの重要さが確認されました。今日の経営者であれば、コミュニケーションの重要さを理解し、改善しようという前向きな意思を持つことが多いのではないかということが示唆されました。また、コミュニケーターの姿勢として、ベンチマーキングの重要性を強く支持する意見も出されました。

トラディショナルメディアとソーシャルメディア

このふたつのコミュニケーションも、どのようなストーリーを発信できるかが本質的に重要である、というのが前提であることが確認されました。新しいメディアの活用については、グローバルにおいても、どの会社でも特にリスク管理の側面では、明確な解を持っているところは少なく暗中模索であるということが示唆されました。ただ、ソーシャルメディアの流れは留めることができず、基本姿勢としてのオープンさと、運用における慎重さが共に求められるということが共通する認識でした。参考例としては、アメリカの選挙キャンペーンが挙げられました。マスコミを通じた間接的なトラディショナルなコミュニケーションに対して、新しいメディアでは、企業がさまざまなステークホルダーと直接向き合うことが多くなります。そうした流れに対応するために、自社内に情報を編集するメディアセンターを設立した事例も紹介されました。また、その同じ流れのなかで社内・外のコミュニケーションの壁がなくなり、融合が進むという大きな方向性が示されました。

*理事の林正愛が、本人のブログでも本パネルディスカッションの内容を紹介しています。あわせてご覧ください。
http://jungae.exblog.jp/19322405/